能力値の数
2022/03/07
FFTはSRPGを敬遠するライト層に向けたSRPGを作る、というコンセプトが根底にあったといわれています。
そこでタクティクスオウガを作っていた松野氏に対して伊藤氏が「こんなにパラメータが多かったらゲーム画面を見たライト層がとっつきにくく感じちゃうから3つに減らそう」と提案したらしい。
じつは自分もRPGにたくさんパラメータを用意する意味があるのだろうかと疑問に思っていた時期があって。
仮にパラメータの内訳で戦士系とかシーフ系とか魔術師系とかユニットの特徴を出したとして、レベルアップで成長しても各種パラメータのバランスは変わらないわけで、それならパラメータを細分化する意味は無いんじゃないかと思ってたんですね。
そこでキャラのパラメータを「戦闘力」たった一つにしたのが無印の帽子世界だったわけです。
キャラを強くしたいなら戦闘力を上げれば済む。
戦闘力を上げれば物理攻撃力も魔法攻撃力も防御力も素早さも全部上がる。
細かい特徴はプロパティで表現し、武器や魔法に熟練度を設ければ従来のRPGと同じ感覚で遊べるだろうと。
実際にそれで困った事にはなりませんでした。
けれども次回作の新約帽子世界では能力値制に戻しています。
理由はただひとつ。
「味気なかった」
戦闘力の高い相手と戦ったら味方の戦闘力が成長する。
シンプル過ぎてゲームとしての底が浅かったんですよ。
そんな事を言い出したらただ経験値を稼ぐだけのRPGも似たようなモンじゃないかって話になるんですけど、細かいパラメータはそれだけでキャラに対する想像力が掻き立てられるんですよ。
でも単に戦闘力って数字をポンと渡されたらそれだけでどんなキャラか想像するのはなかなか難しい。
力10 素早さ4 魔力2って数字を見たら「力強くて動きは遅くて魔法が苦手な戦士系キャラなんだな」みたいにピンとくるけど、戦闘力134って数字だけ渡されてもどんなキャラか分からない。
それをカバーする為にプロパティを別途用意して攻撃★3 素早さ★1 魔力★2みたいな数字を出したんですが、結局それって能力値じゃんって話なんですよ。
素早さ15のキャラが素早さ9のキャラより早く行動できるというのはすぐ分かると思うんですが、戦闘力368 素早さ★1のキャラが戦闘力114 素早さ★3より早く動けるかどうかなんて分からない。
パラメータを少なくしてとっつきやすくする目的が、むしろあんまり見た事がないシステムになってとっつきにくくなるという逆効果になってしまった。
だから次回作で馴染みのある従来の能力値制にしたわけです。
さて、そこで今作っているマジェスティアの話です。
これはFFTがベースですが、最初に話した通りFFTはパラメータが3つしかありません。
そのFFTも次回作のFFTAから能力値制に変わりました。
FFTAのコンセプトもライト層向けなのに、です。
ということはFFTの方式は駄目だったのか?というのが今日のネタです。
結論からいうと、駄目では無かった。
だからマジェもFFTと同じパラメータ数3つでいきます。
物理攻撃力、魔法攻撃力、スピードですね。
理由はシンプル。
「FFTのバトルデザインをした伊藤氏の考え方が自分の好みだから」
伊藤裕之氏はATBの考案者だという部分が有名ですけど、自分的にはATBよりもFF5のアビリティシステムの方が偉大だと思う。ATBは今だともう化石になっているシステムですが、アビリティシステムは今現在でも幅広いゲームに現役で使われているから。
経験値以外にスキル部分の育成ポイントを取得できるようにして、スキルをパーツ化させて装備品のように管理してキャラをカスタマイズする、あの偉大なるFF5のアビリティシステムを生み出したのが伊藤氏なのです。
松野氏が彼を天才だと断言するのも必然だと思う。
ただし、伊藤氏も全てが完璧というわけではありません。
FF8のジャンクションシステムは個人的に好きですけど世間では賛否ありますし、FF12で最初の宝箱を開けたら最強の槍が入手できなくなる例のシステムはふざけんなと思っています。
しかも彼はFFTの黒本事件の黒幕でもあります。
エルムドアの源氏装備は小数点以下の確率で~という黒本の嘘情報をファミ通へ流したのは他ならぬ伊藤氏であり、そのせいで叩かれてたりします。
それでもえぬは、伊藤氏のシステム設計のポリシーが好みなんです。
「自由度が高く」「低レベルでもクリアできる」あの設計が。
彼の考え方の根底にあるのは、おそらくマンネリの破壊。
レベルを上げないと強いボスが倒せないという従来のRPGを破壊するために生まれたのがアビリティシステムやジャンクションシステムなのです。FFTで能力値を3つだけにしたのも従来のSRPGの破壊といえるでしょう。
破壊神ITOU。
外すこともあるけれど、当たった時はとてつもないものを生み出す。
「真の創造とは破壊なくして生まれない」という言葉が最も似合う男。
その破壊神が生んだ、能力値をたった3つにするシステム。
それを捨てるなんてとんでもない!
FFTAがFFTっぽくないのは能力値が普通のSRPGみたいになったからやろ。
なんで捨てたんやスクエニ…それは捨てちゃあかんやろ。
おまけにFFTAは能力値だけじゃなくてスピード育成の取り返し付かない部分もタクティクスオウガ時代に先祖返りしてて、何でオウガの駄目な部分を復活させてんのよってガッカリしたものです。せっかくFFTで改善されたのに…
つまりFFTとは、SRPGを再構築しようとした伊藤イズムが詰まったゲームであり、能力値3つにしないということは伊藤イズムから外れることを意味する。
だからFFTっぽいゲームにしたいならば能力値3つにするのは必然である。
…というわけなんです。
え? それって単に伊藤信者ってだけだろって?
いや…
個人的に「オイコラふざけんなよ!」ってシステムも作ってるから盲目的に信者ってわけでもないんですけど、「人間の体が短期間で成長するわけがない」とかちょくちょく琴線に触れること言うし…
3/9までの拍手お返事です。
■FFTは戦闘シーンに切り替わらないんで、行動の全てがMAP兵器みたいなもんなんですよ
■経験値を自由に割り振りできるようにすると1ユニットに集中させてレベル格差を広げることができるから、終盤になるにつれてバランス調整が難しくなっていくかもしれないですね
■そもそも基本的なSRPGの敵AIが作れるかどうか…それが問題だ
プレイヤーが少しでも移動先を間違えたら敵が集中攻撃してきて即落ちるガチAIだと疲れる人もいるでしょうしね
■その場合、ゲームスキルの高いプレイヤーほど多数の報酬が得られ続けていって、ゲームが進むにつれてプレイヤーの難易度格差が開いていくことになります。結果、下手な人ほど余計にゲームが難しくなっていくでしょう。上手い人は楽しいでしょうけど、下手な人にとっては嫌に感じるかもしれないので個人的に避けたい設計ですね。
■ナタリーは教会みたいな所がホームだと落ち着かないかなって
投降させた分だけ損をするシステムだと誰も使いたがらないでしょうから投降させた分だけ何かしらメリットは用意しないといけないでしょうね
■経験値じゃなくて装備品を全部ゲットの方向にしようかなぁと
盗むコマンドで一つずつ盗むよりも簡単に全部ゲットできたら楽かなって
■経験値はもらえないけど装備品は全取りにしようかなぁと
■それも考えたんですけど、1戦終わるごとに振り分ける手間が面倒くさそうなのと1ユニットに経験値を集め続けると終盤のバランスが簡単に崩壊するリスクが出てくるからたぶんやらない
■戦闘以外で経験値を取得できる方法があると良いかも
けど1ユニットに経験値を過剰に集めて平均から特出した高レベルユニットが作れない仕組みにする必要はあるかなぁ
■ヨウコ編では時計屋敷にヨウコが落ちてこなかったんでシキ編は始まりようがなかったんです。ただしシキは無印とシキ編の記憶があるので無印ベースで動いていた感じですね
■なんでそんな変換候補出たの?!おっかしいなぁ…
■ファイアーエムブレムのようにリソースが有限のタイプと、オウガやFFTみたいにリソースが無限に稼げるタイプの二種類を考えるならば、後者の方が初心者にとって助かるのは間違いないでしょうね
■わかる。ベストメンバーで全力を出すステージがほとんど無いというかそれよりも育成しなきゃ勿体ないって感じになっちゃう
■取り返しのつかない要素は排除して気楽に遊べる形にしたいですね
オウガとかFFTAはスピード育成が取り返しつかないから低レベル攻略とかで神経擦り減らすのがあんま好きじゃなかったんですよ
■女性型モンスターか…人間ユニットの勧誘はできますよ!
■経験値が有限のSRPGは1ユニットの敵も無駄にできないですもんね
育ててないユニットは敵に攻撃が当たらなくなって育成不可能になるSRPGもあるからなぁ
■投降を戦略化させると上級者と初心者の難易度格差がさらに広がる可能性もあるからたぶんその部分はシンプルにするかもしれないですね
■誕生日…? はて何のことやら…
■スパロボはFとF完とαをやりましたけど、Fは撤退するボスを撃破すると高性能なボーナスパーツがゲットできるから1ユニットの行動ミスも許されない鬼ゲーでしたね。セイラさん仲間にする条件が規定ターン数以内になってるから稼ぎすらできないし。あれを体験してるから「○○するとボーナス」系が嫌いになりました
■リメイクしたオウガ(運命の輪)っぽいというか、たぶん運命の輪がヴァルキュリア方式をパクッたんやろなぁ…運命の輪がそこらへん消化不足で不評だったのは、たぶん元々オウガがそういう設計をしてなかったからかもなぁ
■おっ、次回ネタにしようとしてた話してるぅ~
プレイヤー格差というか、初心者ほどどんどん難しくなっていって上手い人ほど簡単になっていくというか
■風花雪月はコエテクとFEブランドの親和性の高さがものすごいパワーを生んだ奇跡の作品といっても過言ではないと思うの。三国志とか信長の野望とか好きな層をいっぱい取り込みつつ従来のFEファンも納得させるというのはすごいとしか言いようがない
■ノクティスみたいに呼ぶなし!
< カンダタが倒せない
| ページTOPへ |
育成とタクティクス >