「絵は、描いた人の心を映す」
昔、美術の先生が言っていました。
えぬにとってこれは呪いの言葉でした。
自分の絵柄がとても嫌いだから。
自分の絵柄が残ったまま上手くなるのは絶対に嫌だと今でも思っています。
えぬ以外にもけっこういると思う。
自分の絵柄が嫌いな人。
むしろ自分の絵柄が大好きな人ってそこまで多くない気がする。
もちろん自分の絵柄に個性が無くて悩んでいる人もいるでしょう。
オリジナリティこそが武器だ、という考えは至って正常な感覚です。
没個性で地味だから何とかして個性を出したいって人もいるはず。
でも没個性に見えてやっぱりどこかで絵に個性はあるんですよ。強いていうなら特徴がパッと見て分かりにくいという個性があるのかもしれないし、練習すれば自分だけの個性を強く出していけるかもしれない。
しかし、その自分だけの個性が好きかどうかは人によって違う。
私は自分の個性が嫌いだというだけの話です。
自分の絵だと分かるような癖が出てるけど、できるならこんな癖は消したい。
この癖が残ってる以上、どんなに上手くなっても上手くなった気がしない。
描いても描いても嫌な癖が残ってしまって絵を描くのが嫌になる。
こういう人にとって「いやあなたの絵柄は好きだよ」「個性は大事」という言葉は呪いにしかならない。誰が何と言おうと自分の心が嫌がってるんです。
嫌いな食べ物が好きになるのとは違います。魂の奥底で拒否反応が出てる。
お前が気に入ってるかどうかは関係ない。私が気に入らないんだと。
オリジナリティは絶対的な正義じゃないっていう人もいるんですよ。
個性よりも何よりも、自分が好きなものを描きたい。その絵に個性がなくたっていい。その絵が好きだから描きたいだけだし他人がどう思おうが関係ない。
ただ、悲しいかな。
絵柄の個性っていうのはどうやっても出る。
個性の無い絵を描くのは不可能じゃないけど超絶技巧が必要だと思う。
RPG探検隊で帽子世界が完成してからキャラの絵を日記でほとんど描かなかったのも、嫌だったからです。自分の絵柄が。嫌なモンを進んで他人に見せようなんて思わないでしょう。だから常々何とかしたいと思ってました。
しかし。
どう頑張っても癖は消えない。必ずどこかに自分の個性が残る。
おそらく美術の先生の言葉が真実だからでしょうね。
「絵は、描いた人の心を映す」
どんなに歳食おうが自分の心はパーツ交換できない。仮に性格や好みが変わったとしてもそれは趣向や考え方が変わっただけで心はそのままなのだから。
ヒトの心は個性や性格を張り付けただけのものじゃない。
生まれてから今までずっと生きてきた人生の積み重ねで形作られてる。
好みや性格や口癖が多少変わったところで長い人生のひとかけらに過ぎない。
漫画の練習をするならば、この呪いの言葉を克服しなければいけない。
選択肢は二つしかありません。
自分の絵柄を好きになるか、無理だと分かっていても絵柄を変えるか。
それで自分は後者を選ぼうと決めました。
自分の絵柄を好きになるくらいなら筆を折る。
そのくらい嫌いなんです。
基本的に私は嫌なものは嫌だとはっきり言う人種です。
漫画絵の練習をすると言ってまず真っ先に線の練習をしていたのも、線が個性に大きく影響していると思っていたからです。きれいな線が引けるように~って言ってましたけどアレは要するに今までの線から脱却したかったんです。
先生の言葉が真実なら、おそらくやるだけ無駄でしょう。
無意識の内にそれが真実だと認めているからこそ呪いの言葉になっているわけで、そう簡単に克服できてたら誰も苦労しない。
でも、できないからやらないんだったらいつまで経っても変わらない。
やるしかないんです。
無理というのはですね、嘘吐きの言葉なんです。途中で止めてしまうから無理になるんですよ。途中で止めなければ無理じゃなくなります。ただし死ぬ。
ということで、長くなりましたが今日は絵柄の模索をします。
まずは自分の絵柄にどういう特徴があるか把握することが重要です。
何も分かっていないものは変えようがないですもんね。
まず、大きく2つにバッサリ分けます。
男性向けと女性向けの絵柄です。
漫画においてこの要素は絵柄を大きく左右する最大の特徴でしょう。
もちろん男女両方向けの絵柄みたいなのもありますが、今回は自己分析が目的なので分かりやすくする為にあえて両極端な傾向で描いてみます。
とりあえず4つの顔を描きました。
ものっすごい先入観で描いたんでツッコミ所も多いですが、あくまで自分のイメージした誇張なので、これが世間一般の傾向だという話ではありません。
男子向け女子向けって書いてますけど、大げさに誇張したものなので実際にその層に向けた絵柄とはいえません。要するに左は少年漫画の傾向、右は少女漫画(レディコミ)の傾向を自分なりに解釈して誇張して描きました。
自分男だけどこんなの好きじゃねーよとか私女だけどこんなの好きじゃないしとか必ずあると思うんですが、しつこいですけど世間一般がこうだという話じゃありません。今の自分の絵柄がどの傾向にあるか分かりやすくするためにわざと大げさに誇張しているだけです。
その傾向の中から「今の自分の絵柄はこういう傾向なんじゃないか?」と分析し、そこから「ならこういう絵柄を目指そう!」という自分の進むべき指針を見付けるのが狙いです。練習という名の航海でコンパスを作る感じですね。
では具体的にどんな事を考えて描いたのか見てみましょう。
何度もしつこいですがあくまでえぬの脳内チェック用の特徴です。
赤字の内容は欠点ではなく、あくまで特徴というだけです。
本当に何度も何度もしつこいですけど、これはえぬの脳内限定ですからね。
自分の絵柄がどんな傾向かチェックしやすいように、あえて大げさな特徴にしているだけの話です。
で、自己分析してみたんですが。
少なくとも今までの自分は、やや女性向けの絵柄だったのではないかと感じています。顔や線の太さは若干男性向けかもしれないんですけど、体はガリガリで首が長く、手足や指も細長くて女性向けの傾向が強くなっているかなと。
全体的に立体感が無い部分も少女漫画的かもしれない。
巨乳が苦手だというのも少女漫画的な傾向と一致してる気がする。無理に描いてもゴムマリ描いてる気分になって気持ち悪いから描きたくなかった。
というより自分の絵は元々少女漫画風だったんですよ。
基本的に馬面でガリガリ体の八頭身ばっか描いてました。
何を隠そう上の画像の右側は完全に昔の自分の絵柄ですわ。
顔や線の太さが一部男性向け、他は女性向けという傾向がブレンドされて今のえぬの絵柄ができている。ブレンドの比率が特定の値になることで「この絵はRPG探検隊のえぬの絵だな」と一目で分かる特徴になっているのではないか、と分析しました。アンバランスさに特徴が出ているのかもしれません。
この男性向け女性向けのブレンドは顔だけじゃなく全体に影響します。
例えば手だけ切り取って見ても、指の長さの比率や線の太さにも男性向け女性向けがあるので、ブレンドに特徴が出すぎる作者の場合は極端な話、手の絵だけで誰が描いたのか分かってしまう。
おそらく私が自分の絵柄を嫌いなのは、このブレンドの配合比率が自分の中で気持ち悪く感じているからではないか。
確かに自分は大昔に少女漫画風から脱却しようと絵柄をいじって少年漫画風を目指していた事がありました。その配合が失敗していて無意識のうちに不自然に気持ち悪く感じているのかもしれません。
ってな感じで自己分析終了。
じゃあ次は「どんな絵柄を目指すのか」です。
自分は何の漫画が描きたいのか?
前に週刊少年ジャンプみたいな漫画が描きたいと言ってましたね。
ならもう答えは出ています。
左側(男子向け)の傾向の絵柄を目指せば良い。
右側(女子向け)の赤字内容を意図的に抑え気味にして、可能な限り男子向けの赤字を優先して絵柄を再構築していきたい。
上4つの絵は意識して男子向け女子向けを描きましたが、もちろんそんな簡単に癖が抜けるわけもなく、まだ自分の嫌な絵柄が残っています。だからもっと男子向けの絵を研究することでブレンド配合がしっくりくるようになるのではないかなと。
え? 両方目指してキャラの描き分けに利用すればいいじゃんって?
いやむしろ昔それをやろうとしてバランスが崩れて自分の絵柄が嫌になったんじゃないかって気がしてるので、まずは一つの方向を向いて練習したい。
少年漫画向けの中で描き分けの特徴を模索するのはアリだけど、少年漫画向けと少女漫画向けの絵柄をあっちこっち行ったり来たりするのはマズそう。
ある意味、エロ漫画を勉強するのもアリっちゃアリなんですよね。
基本的にエロ漫画は男性向けなので、より強烈になった男性向け趣向が濃く出る分、鍛えられそうではある。
ただし、何も考えずにやっても女性向けの絵で男性向けエロ漫画を描くだけになってしまうので難しい所。まずはその前にやるべき課題がある。
少年漫画向けをやるには絵に立体感が無い部分を改善する必要がある。
次回は「空間認識能力」をネタにします。
11/2までの拍手お返事です。
■今現在そんな呑気なこと言ってられない地獄に突入しています
これだけはやりたくなかったっていう苦行が…
■ダリアやめいw
みんなが喜んでもらえる絵が描けるようになるまでもう少し待っててね
今のままだとわたしが納得できん
■漫画の描き文字はコマのどこに配置するか、テキストや形、いろんな要素が組み合わさっています。それらの技術を習得している人があえて使わないのであれば分かりますが、ほとんど使った事もない自分のような漫画初心者はガンガン使ってそのスキルを習得するのが先じゃないかなと思っています
■喜んでもらえたようでなにより
■いや女ばっかり描いてると本当に技術が向上しないんスよ…
■でっかいおっぱい描いたよほめて!
描いてみるとこれはこれで楽しかった爆乳
■むりやり繋げてきたか!!
漫画の黒髪ってベタ塗るのめっちゃ面倒ですね…
いやベタだけならバケツで済むけどその後のオワイト処理がめんどくさい
■じつは日記のネタはストック分を放出してるだけなので必ずしも3日で済ませているわけではないのだ
■有害指定同級生(百合漫画)のくろは先生は空いたスペースにあざらし描いてましたね
■メシュはガワは気を遣ってるけど下着は誰にも見られないからテキトーなのつけてたって感じでひとつ
■目の前にケツがあったら誰だって見るとおもうの
■さすがにそこまでの設定は無いですけど確かに弓道部が似合いそう
■たぶん4コマ系は作業感が強すぎて自分に向いてないとおもう
似たような絵を何個も描くなんて作業感ハンパ無いんだもん…
■ハンターハンターっぽい少年漫画が描きたいですね!
■自分の納得できる絵柄を手に入れたらエロもやれそうだけど、果たしていつになるのやら…
■掲示板の特性を利用した表現方法という感じではあるので、漫画とはまた違った楽しみ方みたいなのがあるんじゃないかなぁと思ってます
■お金を貰う=責任を負った仕事って感覚なのでお金貰いたくないんですよね無責任で気楽にやりたいというか…
■神に感謝
■ちと帽子世界の絵はしばらく勘弁してくだされ
変えようと苦心してる絵柄がどうしても元に戻される
■自作ゲームもそうでしたけど、やっぱ楽しみながら作りたいですもんね
ただ帽子世界と違って漫画は下積みが必要だからしょうがなく練習してます
早く納得いくものができるようになるといいなぁ
■闇ロールがどうしてデーモン小暮になったのか理由が思い出せない…