中断セーブをどうするかは、SRPGを作る上で極めて重要な話です。
リセット吟味が容易にできてしまうと、SRPGはいとも簡単にバランスが崩壊してしまうからです。
命中率に難のある攻撃も当て放題。
敵の攻撃を回避するまで延々とやり直したら、もう無敵でしょう。
なので昔のSRPGはゲーム再開時にデータを消すインスタント仕様が多かったのですが、アレは昔だから許されてたんですよ。どうせセーブファイルコピーで簡単にズルできるし、マジェは何の制限もなくセーブできる様にしました。
戦闘中のセーブは剣アイコンを付けて区別できるようにしました。
ただしツクールのセーブはデフォだとマップイベントの座標や画像の変化はセーブされないので独自に処理させる必要があります。
それは良いとして、問題はリセット吟味でバランスが崩壊してしまう部分。
リメイクされたオウガはこの問題を逆転の発想でゲームシステムに組み込み、C.H.A.R.I.O.T.(チャリオット)というやり直しシステムに昇華させました。
チャリオットは単にやり直しただけでは同じ結果を返すので、結果を変えるにはやり直す度にゲームの乱数を変化させないといけません。
まぁリメイクオウガの乱数は移動先を変えただけで変わるし、レアドロ狙いだと演出の早いワープリングを付けてひたすら吟味するような感じのプレイになろうかと思います。たぶん本来の目的は乱数吟味じゃないと違うけど…
さて。
ではマジェはどうするか。
結論が今日の日記のタイトルになっていますね。
そう。マジェは何をやろうが「運命を変えることができない世界」にします。
例えば命中率25%のスキルを使う前にセーブしたとします。
それをロードして当たるまでスキルを使っても、最初に外れる結果を引いていたら永遠に結果は変わりません。
ここまではリメイクオウガも同じです。
だからゲーム内乱数を変える行動を交えて結果を吟味するわけですね。
しかしマジェは移動先を変えようが何をしようが結果は変わりません。
スキルや対象を変えるともちろん結果はそれぞれ違いますが、セーブしてやり直してもそれぞれの結果は必ずそれぞれが辿った結末になります。
例えばAがBとCにみねうちしたらBにスタンが入ってCには入らず。
スキル変えて足払いにしたら今度はBにスタンが入らずCには入る。
セーブ&リセットしても毎回この結果になるわけですね。
乱数テーブルがテキトーだったらBにスタン入ったらCにもDにも入ったりしますけど、もちろんそんな間抜けな処理はしていません。ものっすごい膨大な量の乱数テーブルを使っているので参照先が被ることはありません。
例えばセーブした後でスキルAを使って外れたからリセットしてスキルAは使わないようにして、しばらく他の行動で戦闘を続けて忘れた頃にスキルAを使っても結果は変わらないんです。そのくらい大量のテーブルを割り当ててる。
間に100ターン挟もうが別の行動をやりまくろうが何をやってもいつやっても変えられない。「誰が」「何を」「誰に対して」「何を付与するか」まで全部徹底的にガッチガチに結果が決められているんです。
スキルの使用だけじゃなくて退場後クリスタルになるか宝箱になるかの結果も宝箱になった場合のレアドロップの結果もクリスタルになった時にどのスキルが継承できるかの結果もテレポの成功失敗もほぼ全てが決まってる。
じゃあ、あえて結果を受け入れて次の新しい乱数を吟味すれば良いのか。
例えばセーブした後でスキルを使って外れたけど、リトライせずに同じスキルを使って次の新しい乱数を引き続ければテーブルの種も尽きるやろ……これを繰り返して新しい乱数で吟味するようにすれば……
……もう賢明な方はお気付きでしょう。
何度新しい乱数を引いても結果は変わらないのである。
××〇×〇...という結果だったら何度やり直しても××〇×〇...になる。
100回同じ相手に同じスキル使ってリセットして、もう一度100回同じ相手に同じスキル使っても、必ず同じ100パターンの結果が返ってきます。
スキルを変えたり対象を変えるともちろん結果はそれぞれ違いますが、それぞれの結果は何百回やり直しても必ず同じパターンを返すんです。
テーブルから乱数を直接拾ってるわけじゃないんですよ。正確にはテーブルの中にテーブルがあってどのテーブルを選ぶかの乱数もテーブルになってる。
超入れ子状態なので人力で引き続けて種が尽きるほど甘い量じゃない。
まだ発生前の戦闘の結果すらもう決まってるレベルですからね。
だから戦闘が発生する前のワールドマップでセーブしてもリセット吟味はできません。敵ユニットが決まる前にもう乱数は決まってるから。
ぶっちゃけ戦闘前どころかニューゲームした瞬間に大部分の結果はもう決められてるんです。255回目の戦闘で仲間AのスキルDの5発目が敵Cに命中するかどうか、もうニューゲームの時点で決まってる。そこまでのレベルです。
当たり前でしょ。
「運命が変えられない」ってルールをナメてない?
そこまで重たい話なんですよ。ガチで未来が固定されてる。
ここまで徹底してるゲームはたぶんほとんどないとおもう。
タイムリープものだって、どれもこのくらいネチっこいでしょ。
何度やっても本能寺は燃えちゃうし、どうやっても坂本龍馬は殺されるじゃないですか。なぜか義経だけいつも生き延びてるけど(※やや偏見あり)
とりあえず。
その仕組みは別にそれでいい。
しかし、最も重要なことはそれがゲームとして面白いか否かである。
おそらくここまでの話を聞いてると「面倒臭そうなゲームだなぁ」というイメージになっていったとおもう。単にやり直しができないゲームじゃん、どこが面白いの?となるのも当然でしょう。
もちろん、ここまでは長い前振り。
なぜ徹底的に結果を変えられない設計にしたのか、ここからが本題です。
リセット吟味問題の解決が主目的じゃないんですよ。
ガッチガチに固められたものほど、それを壊した時に爽快でしょ?
真のロマンというのは、到底できないことをやり遂げることで得られるカタルシスの先にある。
因果率の操作。
未来の改変。
人の手では絶対に起こせない奇跡の所業。
マジェではそれらを「神々の寵愛」と呼び、システムに組み込まれています。
運命を変えられないのは人間だからなんですよ。
でも神様であれば変えられる。
当たり前ですよね。だって運命って神様が決めるものですから。
「寵愛値」というのがゲーム内にありまして。
これはプレイヤーにとって都合の悪い結果を引き当てた時に溜まっていく数字になります。不運な人間に神様が同情してるんですね。
そして、この寵愛値が最大まで溜まると
神々の寵愛 = Favors oF Future Fortunes(FFFF)が発動可能。
結果、都合の良い結果を無理やり引き当てることができるんです。
ドロップ率1%のレアアイテムが確定で100%ドロップになる愉悦。
命中率1%の即死攻撃を敵ボスに当てて理不尽に葬り去る快感。
リセット吟味が禁じられた世界で低確率を確定で引ける、まさに神業です。
FFFFの名が示す通り、まるで16bitの好きなメモリ空間をFFFFに書き換えるがごときチート行為なのです。これなら源氏シリーズも盗めるってなもんです。
黒本の犯した罪はわたしが償う!(※実際はメモリいじっても盗めません)
この仕組みの特徴は「ハズレがハズレじゃなくなる」という点です。
普通だったら攻撃が外れたら損しかしないイメージですが、このシステムによって「よっしゃこれでポイントが貯まるぜ」という反転現象が起こるんです。
従来のゲームであれば、命中率98%の攻撃がスカったら「はぁ~?ありえないっしょ?」ってストレスがマッハでしたが、マジェでは有り得ない不幸ほど一発でゲージがドガーン!と溜まるのでむしろ幸運であるともいえます。
要するに、不運を溜めて好きな時に幸運へと変えられるシステムなのです。
もうゲーム乱数に祈る苦行とはここらでオサラバしましょうや…
損でしかない結果を引いたらやり直したくなるでしょ。
だからどっちに転んでも良くなる結果にしちゃえば良いんです。
これがコンピュータゲームの吟味地獄から抜け出せる冴えたやり方のひとつ。
有利な確率を外した時のフラストレーションが凄まじいからリセット吟味しちゃうんですよ。だったらその大ハズレを大アタリに変えれば良い。
オウガのチャリオットは確かに良いアイディアでしたけど、あれの欠点は結局のところ吟味しないと損になってる部分だと思ったんです。
要するに疲れるんですよ。良い結果を引くまでいちいち乱数変えるのが。
遊びというより作業になってしまうというか。本来の目的と違うし。
リセット吟味もゲームの面白さの一つではありますけど、どうしても悪い結果を受け入れにくくなる。やり直さなければ一方的に損するだけだし、かといって毎回吟味するのも疲れるじゃないですか。疲れるし虚しいし。
そこらへんの従来のゲームの弱点をどうにかできないか考えに考えた末に辿り着いたのがこのシステムなんです。弱点を遊びに変えるという発想。
良い結果はもちろん嬉しいし、悪い結果でも確実にプラスになる。
あたしゃもうリセット吟味を延々繰り返す作業に疲れたんですよ。そんなギャンブルよりも着実にポイント貯めて確定で成功させる方が気が楽なの。
で。
これをやる為にどうしてもクリアしなければいけなかった課題。
それが「運命を変えることができない世界」だったんですね。
だって簡単にリセット吟味できたらこのシステムの意味ないでしょ。
やり直せる可能性をミリでも残したら、悪い結果で損した気持ちになって疲れるんですよ。やらないと損になることは無くしていけば良い。
だから全ての結果が決まっている仕組みを作る必要があったんです。
プラス、そのシステムを世界観に溶けこませないといけない。
「未来が変えられない」「運命は避けられない」と悩み苦しむゲーム内の登場人物がいても、リセット吟味で簡単に結果を変えられる世界だったらプレイヤーからするとシナリオのご都合に見えるでしょ。
もしこれがプレイヤーですら変えられない世界だったら説得力が変わる。
「何度やり直してもガチで結果が変わんないんだよなぁこの世界」ってなる。
これがゲームのシステムと世界観を結び付けるやり方ってやつです。
もし、マジェの世界で神様と戦うことになってしまったら大変ですよ。
味方の命中率99%の攻撃は絶対に命中せず、神は1%の即死を必ず通してくるわけで、運命をイジる相手と戦うというのは理不尽極まりない。まあ当然か。
神は、サイコロを振らないから。
2/15までの拍手お返事です。
■竜はどうかなぁ…召喚魔法にはいるけど
■RPG探検隊はやさしさで出来ています(大嘘)
■このネタが通じるのはあと何年までだろうか…
■女の胸とケツはいくら盛っていいって漫画の神様がゆってた。でも太ももはゆってなかったので最近Xで某アニメキャラの太ももが炎上してたらしい
■面白い奴だ。気に入った、殺すのは最後にしてやる
■お…おまえはモグタン将軍…モグタン将軍じゃないか!!
■醒めちまったこのゲームに…熱いのは…俺達のDRIVING…
■ウディタちゃんは良い子だからね…
■・・・・風が、・・・・くる!・・・・
■どんだけ淫乱なんや!
■ほほう…と思ったらまさかの英語版。ひょっとしてこの機会に英語でも勉強しやがれという角川からの隠されたメッセージなのか~!?(大誤解)
■女騎士ちゃんがすっかり淫乱ピンク枠になっちゃって…
■ツクールは間口の広さがダントツであり入門用として最高なのである
しかし自分のようにツクールで育っておきながらちょっとできないことがあるとすぐグチグチと不満を垂れるのは駄目人間なのである(自戒)
■何か欠けてやがるぞ!!さては食ったな貴様ッ!
■お…おまえはモグタン将軍…やっぱりモグタン将軍じゃないか!!
またお前かよ!!!!
■あのスイッチ何番だったっけ…で延々と探す辛さ
帽子だとピクチャの表示を最前面にするのはスイッチ394番、キャラチップ移動速度を激遅にするのはスイッチ427番とかこれ後から作ったことすら忘れるやつや!ってなる
■camelCaseだかキャメルクラッチだか知らんがあんなモン使いこなしてたまるか!背骨がヘシ折れるわい!inran_pinkじゃなきゃヤダヤダ~!
竜100種はやっぱり大変だよね、俺は詳しいんだ!!111