感動話メソッド
2020/03/26
今日のネタはちょっと不快要素があります。ご了承ください。
ネットや本で情報が溢れている昨今、シナリオ作成術や創作メソッドを目にする機会が増えました。でも不思議と「こうすれば感動的な話が作れる!」っていう本がほとんど無いんですよね。
結論から先に書くと、そういう本が無いのは不快に感じるからだと思います。
中学生くらいの時、英語の授業でオー・ヘンリーの最後の一葉をやった時に友達と冗談半分で「感動話メソッド」みたいなのを作ってた時がありました。当時はクラスでブラックジョークが流行ってて、そのノリで遊んでたんです。
細かい内容はほぼ忘れたんですけど、ノリだけは覚えているので今日はそこらへんに触れながら「どうして感動話メソッドが不快なのか」を考えていきたいと思います。
以下、感動話メソッドです。
まず最初に、物語最後で殺す子を作ってください。
殺す子はあなたが考えうる限り良い子にしましょう。良い子であればあるほど「なんでこんな良い子が死ぬんだ」という理不尽感が増してその悲劇に読者は心を打たれます。
優しい、思いやりがある、明るくて気が利いてて真面目で、とにかく可能な限りあなたが良いと思っている要素をぶちこみましょう。キャラ作成は完璧すぎないように欠点を用意するのが基本ですが、感動話メソッドを利用する場合は「完璧に良いキャラ」を作って殺した方が簡単です。
次に殺し方です。
交通事故か病死にしてください。
あなたがそこそこ知名度のある作家であれば交通事故、あまり知名度がなければ病死を選ぶのがお勧めです。
交通事故の場合は終盤まで死を臭わせないので途中の日常パートで読者が飽きてしまう可能性があります。なので、無名の作家であれば最初から死を匂わせる病死の方が良いでしょう。
病気のチョイスは無難に心臓が悪い程度にしましょう。
昔は結核や白血病が大人気だったのですが、今は医療が発達しているので選ばないほうが無難でしょう。
ただし苦しそうなシーンを見せるのはNGです。やらないでください。
読者に「こんなに苦しそうならいっそ死んだほうが楽なんじゃないか」と思われてしまったら死んだ時の感動ポイントが減ってしまいます。理不尽感を出すために綺麗に殺しましょう。
だからといって元気ピンピンすぎると今度は悲劇感が薄れてしまうので、病室で1人寂しそうに窓の外を眺めさせたりずっとベッドから出さないようにしましょう。漫画の場合は車椅子を描くのが面倒なので介護手すりや松葉杖で歩かせるのがお勧めです。
仕上げに、この可哀想な子に夢を持たせてください。
夢とは「死ぬまでにやりたいこと」です。
ささやかな願いなのに実現できない、といった内容が好ましいでしょう。
例えば離婚して家にいない母親の作ったカレーがもう一度食べたいとか。
子供の頃に遊んでたけど今はもう撤去された公園のブランコに乗りたいとか。
あとちょっとで叶えてあげられそうなのに無理、できないっていう内容の方が悲劇感が出て良いですね。もどかしさは感動のスパイスになります。
最終的にこの子のささやかな夢は叶わないようにします。
その方が悲劇感が増して読者は感動するからです。
ただし胸糞悪いバッドエンドはNGです。読後感に注意してください。
夢は叶わないけど思いっきり人生に満足させて殺しましょう。
さて、これで悲劇の子は作り終わりましたね。
次に主人公を作りましょう。
病気で殺す子は基本的に主人公にはしません。
交通事故で殺す場合は主人公にしても大丈夫ですが、病死はダメです。
悲劇の子は読者の同情を思いっきり集めますが、感情移入しづらいからです。
なぜなら「もうすぐ死ぬ」という感覚なんて読者は持っていないからです。
最初に「キャラ作成は完璧すぎてもOK」と書いたのは感情移入をさせなくても良いキャラだからなのです。可哀想だと思わせる要素以外必要ありません。
それに対して主人公は違います。
読者の感情移入が大前提になるので完璧なキャラ造形は避けます。
といっても難しい話ではありません。
読者はもうすぐ死ぬ可哀想な子を何とかしてあげたいと思っています。
そういう「読者がやってほしいと思ってる事」を主人公にやらせれば簡単に感情移入してもらえるでしょう。悲劇の子に毎日ちょっとした幸せをせっせと運ばせてください。
主人公でもっとも大事な設定は「欠点」です。
これは物語最後で悲劇の子が死んだ時に克服される要素になります。
かわいそうな子死んじゃったけど主人公ちゃんは一歩前に進めた、よかったよかったと前向きに描写して読後感を綺麗にしましょう。
欠点のお勧めはツンデレです。
他人と距離を置いてて友達が少なくて人間関係を作るのが苦手で不器用な子あたりにしておくと良いでしょう。想いを寄せてる人がいたりすると恋愛脳読者にクリーンヒットするのでお勧めです。最後にいちゃいちゃさせて悲劇の子の死を美しい愛で飾ってキレイキレイしましょう。悲しい話に耐えきった読者にアメを与えてください。それはもう甘くて美味しいと喜ばれるでしょう。
プロットは簡単シンプル。
もうすぐ死ぬ可哀想な子のささやかな夢を叶えるために右往左往して頑張る主人公ちゃん。結局夢を叶えることは無理だったから悩みに悩んで最後に大きな嘘をついて夢が叶ったように思わせる作戦に出ますが可哀想な子はすべてお見通し。夢なんかよりも主人公ちゃんの優しさの方が嬉しかった私いまとても幸せといって大泣きする主人公ちゃんをイケメン君が裏で支えつつラストシーンでラブラブお墓参りさせて〆。簡単ですね。
最後に作者コメントで「この子は実際にいた知人をモデルにしました」と書くのを忘れないようにしてください。大丈夫ですバレはしません。無いものは証明できませんし、病気で死ぬ子なんていっぱいいますから。最後の感動スパイスを仕込み忘れないように注意しましょう。
以上、感動話メソッドおわり。
これほど不快なものは無いって感じのブラック感でしたね。
こんなもの書く奴の話なんて絶対見たくないわって思われるレベルかも。
ならそんなもん書くなって話ですね。
だけど、この部分。
何て言えばいいか。
感動してもらおうっていう打算が頭の中にあって、それを剥き出しにしてしまうと不快になるんですよね。
面白い話を打算されるのは不快じゃないのに、感動する話だと不快。
特に死が絡むとね…
まるで作者が良い話を作る為に喜んで殺してるみたいじゃないですか。
いや実際に良い話にする為に殺してるんですけど。
じゃあ一切の打算無しに物語を作れるの?ってなるとね。
勝手にキャラが動いてたら自然と病気で死んで感動的な話になったって言われても何かね…ほんとに?って気持ちが先に来ちゃう。
今回のは不快感を分かりやすくするために煽りの入ったメソッドにしましたけど、感動ポルノが叩かれるのは結局この部分なのかもなぁ。感動の打算が見えるというか。まあ感動ポルノの意味はこれとは違うけど。
だからね。
誰も殺さずに感動する話っていうのがすっごく好きなんですよ。
最初にオー・ヘンリーに触れましたけど、あたしゃ最後の一葉よりも賢者の贈り物の方が何倍も好きですね。なんで英語の教科書は賢者の贈り物の方をチョイスしなかったのか。
誰も好きで感動を打算してるわけじゃないと思うの。
けど良い話を作るには打算しなきゃいけない部分もある。
だから「打算してる臭い」を出さない努力をするっていうのが作者として最低限のマナーなのかなっておもいました。
3/25までの拍手お返事です。
■生きてるゼ!
■リゼロのレムはうちの姉も大好きみたいでコメダ珈琲のど真ん中でよく熱弁を聞いてます。けどどうしてももう片方の赤い髪の子の方と扱いが違いすぎてなんだか可哀想だなぁって毎回同情心が出てしまう
■手先の器用なドーラとか頭の良いナタリーとか食べ物の知識ありそうなラヴィが料理下手っていう設定はちょっと無理あったなぁ。まあそこはプレイヤーの選択次第で変わってしまうんですよね
■愛は哲学
■鬼滅の刃のお館様がそんな感じでしたね
柱からそこまで慕われるあの男はいったい…って感じで良いキャラでした
■真IIはナジャとかアヌーンとかけっこう恋愛要素あった記憶
真Iは幼馴染とロウヒーローの関係とかけっこう複雑な面も
■キャプテンとかは人望を集めてるからこそその立場にいるわけで、立場的なもので自然に見えますね
■けっこう更新してなかったですね、わはは!
■あたしゃ性欲の無い恋愛はありえないって考えだから、ヒロインと世界を天秤にかけられると主人公の性欲で世界の命運が決まるように見えて萎えるんですよ。だから天秤にかけるなら恋愛感情の無い対象にして欲しいなぁって
■なろう系って分析するとかなり高度なテクニックが使われてるから自分的にあまり馬鹿にはできないんですよね。たぶんランク上位にいる作者のほとんどは読者層に合わせて作ってるきがする
■アリシアちゃんそんなこと言っちゃうんだ…
そら三大悪女とか言われてもしょうがないかなぁ
■ありがとね!超うれしい!!
■緊張感は大事ですよね
■王室シナリオだと優れた子が王位につかず劣った方が王になるパターンが多いですね。そっちのが展開書きやすいからってのもあるんでしょうけど
■ありがとね!
■ラーメン界のカリスマ芹沢達也が今大変なことに…
実写化で女体化って何やねん初めて聞いたぞそんなの
■半月以上サボってましたね…ごめんちゃい
■美女がフリーってだけでも相当無理があるんですよね
つい女の子の方に興味があるのって思っちゃうじゃないですか
■その後で他人事のように彼を止めてとかゆってたのがマズかったらしい
ならまずお前が謝りに行けよ!って思っちゃうよねやっぱ
以下、他編エンディングやヨウコ編のネタバレがあります
■ユノーに言わせてたかな、具現化だと都合が悪いみたいな
サブイベント消化してたらサブイベントの途中でダリアに話してたはず
■マリーは頭が良いのでそのうち学園都市に行きそうな気もしますね
■魔トリョーシカの戦闘力依存はたぶんゲーム中最強かもしれないですね
あれは倒せるように設計してない
■でもやっぱちょっと難しすぎるかなぁって今でも思ってたり
■ショコラの場合は姉妹喧嘩が追い風になってたのもあったかも
ドーラと喧嘩するのにヨウコの存在がフィットしてたみたいな
■多重人格的な演出でしたけど、どうやって入れ替わるかっていう条件みたいなのは提示してなかったですねそういえば
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