百合語り~前編~
2018/06/14
というわけで百合を語っていきたいところなんですが。
その前に、この言葉が持ついろいろ面倒な歴史を紐解く必要があります。
そもそもいつ頃から女×女が好きになったのかって話ですね。
聞かれた時は「生まれた時からだよ」って答えるようにしてますけども。
しかし。
えぬが子供時代、百合に抱いたファーストインプレッションは最悪でした。
矛盾してますよね。
生まれた時から女×女が好きだったのに、どうして最悪なのか。
それは当時、百合という言葉の意味が今と異なっていたからなんです。
本来この言葉の意味はネガティブなイメージが強かったんですよ。
それは女×女がネガティブな関係だとかそういった意味ではなく。
単純に。
百合っていうのは元々ポルノ用語だったんです。
あんま直接的な表現はしたくないのでソフトな表現でボカして言えば、百合っていうのは超マイナーなエロオヤジが使うようなレズビアンポルノの隠語でしかなかったんですね。
「レズ」が蔑称だという話はよく聞きますが、百合と比べたらまだレズのほうがマシだと思えるくらいのイメージでした。
まぁ子供の頃の話ですし、だから遠い世界の出来事みたいに思ってました。
当然ながら、これはあくまでえぬ個人のイメージです。
世間全般がそうだという話ではないので、誤解なきよう。
そういった最悪のイメージだった百合に対して、エスは真逆。
エスっていうのは今でいうところの百合のイメージに近いかもしれません。
友達以上恋人未満。少女同士の強い絆。幻想的で美しく装飾された世界といいますか。
おかしいと思いませんか。
何でエスって言葉の方が流行らなかったのかって。
ポルノイメージの百合の方が流行るのはどう考えてもおかしいじゃんって。
確かにエスは汚いイメージがありません。むしろ徹底的に綺麗な世界。
その潔癖ともいえる美化された世界ゆえに、とっつきにくさがあったんです。
そしてこの部分こそが、今の百合と微妙に違う所というか。
エスの主眼は芸術性を高める部分にあったんです。
川端康成とかの世界ですね。
ジャンルは違いますが宝塚のようなものを想像してもらえれば。
詩的で美しくも麗しきファンタジー世界をどうやって表現するかって話です。
女性同士の関係に禁忌性・非日常性を見出して聖域化・芸術化する。
だからけっこう重いんです。とてもじゃないけど一般向けとは言い難い。
とはいえ乙女の港はかなり売れたみたいで、エスの系譜は続いていきます。
ポルノの百合に耽美のエス。
そう。
両者の中間がほとんど無かったんです。
ポルノでもなく芸術でもない。
過度に美化されない等身大の女性同士の関係性を表現したもの。
今でいうところの百合作品が、大昔はほとんど無かった。
さて。
じゃあいつから百合の意味が変わったのかって話です。
諸説はあるでしょうし、今日の話はあくまでえぬの個人的主観です。
えぬ視点では、ある時期を境に世間での百合のイメージが逆転しました。
まぁ「マリア様がみてる」ですね。
この作品の解釈もいっぱいあるかと思います。
無印のマリみてって、けっこう攻めてた記憶があるんですよね。
いかに後輩を色仕掛けで誘惑して落とすかって話だったし、キスだの押し倒すだの言ってた記憶がある。背後からピアノ連弾されて顔真っ赤にしながら誘惑に耐えるような話だったんですよ初期のマリみては。今の時代でそんなシーン出したらガチ扱いされますって。
んでこの構図、まんま少女マンガなんですね。
ごく普通の主人公少女がある日突然イケメン王子に気に入られ、あの手この手で誘惑される。その王子が王女に変わっただけというか。
だからキスだの押し倒すだのって話になるんですけど、その勢いがあったのは無印の1巻だけで、2巻以降は健全路線に舵を切った記憶があります。
あ~キスするしない程度なら5巻くらいまでやってたかなぁ…
で、マリみての路線がまだ固まってない初期に「百合」という単語が猛プッシュされてた気がします。1巻はけっこう攻めてましたしね。
マリみての設定はモロに乙女の港なんですけど、エスでプッシュするとインパクトがないんですよ。もちろんエス推しする人もいましたけど、百合推しのほうがはるかにインパクトが高かった。
この辺どういう風に説明するか難しいんですけど。
エス推しだと「あ~川端か吉屋系?今さらそれやるんだ」的なイメージなんだけど、百合推しだと「おいおいコバルトでそれやるんかい!」的な。
これじゃ分からんか…
当時の百合推しってのはアレです、ToLOVEるで限界に挑戦してた矢吹先生みたいなもんだと思ってもらえれば。余計分からんか…
コバルトでやっていいの?マジで?みたいなノリだったんですよ。ええ。
BLに染まったコバルトに風吹かせてやんよ的なノリでしたしね今野せんせ。
エスでプッシュするには作風がライト層向け過ぎたってのもあるかも。
学園の王子様から誘惑される少女漫画チックなノリはエスとは路線が違う。
白き花びらはエス路線でしたけど、もし作品全体があのヘビー路線に向かっていたらライト層には広がらなかったのかなぁと思うところもあります。
結局マリみてはライト路線へ進んだため、百合本来の意味までライト化していった気がする。マリみてを読む層が百合=マリみてだと認識すれば、百合は同性愛じゃないって思う人がいても不思議ではありません。そしてその認識が大多数になれば、元々超マイナーな隠語なんてすぐに書き換えられるわけです。
百合の対で薔薇ってあるでしょ。
でも男×男は薔薇とは言わずにBL(ボーイズラブ)って言い方してますよね。
なんでかっていうと、BLにはマリみてに当たるものが無かったからだと思うんですよ。だから薔薇はずっとポルノ用語のイメージが強いままになってるんじゃないかなぁと。BLが定着するまではやおいとか耽美とかだったし。
逆にGL(ガールズラブ)って呼び方が流行らないのは、百合って単語がポルノイメージから脱却してて別の言葉に代替する必要がないからじゃないのかなぁと思うんです。もちろん百合とGLを使い分けてる人もいますけど、そこらへんは百合定義の話になってくるのでまた次回ってことで。
そんなこんなで。
百合という言葉は時代とともに意味が変わっていったイメージがあります。
次回はいよいよ、えぬが認識している百合の本質を語りたいと思います。
6/13までの拍手お返事です。
■えぬぬんぬん!
■単なる女装ものじゃないですかね…
■最近は摂取しすぎて逆に混乱してきました
■あの愛くるしい行動はすべて計算づくだと…なんて狡猾なやつらだ!
■苦痛に耐えられぬ時のむがいい
■オトメは初期の方が百合物件として紹介するのが難しくて…
ノリは大好きですよ!
■ラブコメという大ジャンルの中の小ジャンルってイメージですね
■久々にこれだ!ってやつが出てきて嬉しいですね
百合にスポットを当てて終わる従来の閉じたスタイルじゃなくて、登場人物すべての運命をかき回す物語の中心に百合があるというのが素晴らしい
■美しい手描きの世界に魅力的なドット絵、惚れ惚れする音楽に魅力的なキャラクターは今の時代でも十分通用するほど高クオリティだと思いますね
■キジトラでしたね
■「関係ないね」
■おね小はおねロリっていうか百合親子丼の匂いがする…
■百合を語るにはまず初期の暗黒時代は外せないかなぁと思って今日のネタにしました
■そこらへんになってくると特性って感じがしますね
■格闘するんかいw
■作品を発信する側が百合ジャンルを付けといてそのオチだったとしたら酷いお話ですねぇ…
■荒れるから避けたい所なんですけど、だからといって何でもかんでも百合扱いするっていうのもいろいろ難しくて…
■一見すると魔女のマルファが常識無く狂ってるように見えるんですけど、よくよく見たら世界のほうもそこそこ狂ってるように見えてくるのが面白い
■百合エンドにバッドなど無い(ナゾの迷言)
■将死は触りがWEBで読めますけどいちおうWEB漫画縛りだったから…
別マガは進撃のアレがあったからか分かんないですけど講談社で百合ものっていうのは希少性高いですよね。オリジナリティが高いのも素晴らしい
■ハチミツに砂糖
■肥満は努力じゃどうにもならないというメッセージが込められてる
■ちょっと機会を逃しただけで面白くないからやめたってわけじゃないんですよホントに!Vita買ってPSアーカイブでもう1回やりたいくらい気に入ってます
■おちついて冷静になれ!
■不二子ちゃんはルパンVS複製人間で本当に縁が切れかかってましたね
■両方ケモではなくあえて片方にケモを置くという上級者のテクニック
■それ以上いけない
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