FFTのゲームバランス考察2
2025/11/10
FFTのゲームバランス、前回はゲーム全体の大まかな難易度の話でしたが、今回は細かな内容に触れていきたいと思います。
FFTの難易度のブレを助長している大きな要素はチマチマ稼ぎだと思うんですが、もうひとつ、リアクションアビリティの存在も大きいと思ってるんです。
有用なリアクションアビリティを持っているかどうかで難易度が大きくブレる。
特定のジョブが持っている「それ」がどれくらい有用なのか、事前に知っているかどうかの差があまりにも大きすぎるんです。
旧作はオートポーションを取ったらゲームはクリアしたも同然となるくらい万能で、他にも白羽取りや見切り、MPすり替えやダメージ分配や潜伏など数多くの有用なリアクションアビリティがありました。
これらは一部を除いてブレイブによって発動率が変わり、そのブレイブを意図的に上げるかどうかも難易度のブレを生んでいます。リアクションアビリティの取り扱いが難しいのはこの部分なんです。
おそらくFFTのゲーム設計は全員ブレイブ97のプレイを前提としていない。
だからこそあんな反則じみた効果が並んでいるんじゃないかと思うんです。
97%で発動してて良い性能じゃないし、97まで上げるには相応の労力もかかる。
有用なリアクションアビリティ、その発動率を上げるブレイブ上げ。
これらを知っているかどうかでゲームの難易度が大きく変わるわけですね。
おそらく制作側もこの問題を認識していたのでしょう。
次回作のFFTAではリアクションアビリティの発動率を一律100%にすることでブレイブ格差を無くし、強すぎたアビリティは一斉に姿を消しました。
ただし、ここでも問題が発生します。
確かにオートポーションや白羽取りやダメージ分配や潜伏は消えましたが、MPすり替えは依然として残っていてこれがゲームバランスを壊すほど強い。なにせFFTAは手番がくるとMPが少し回復する仕様だからタイマンだとほぼ死ななくなるんです。
それと白羽取りは消えましたが代わりに見切りが白羽取りみたいな効果になり、通常攻撃を100%回避するようになりました。ここが問題になっています。
FFTは無駄な行動をしないAIだったので命中率0%の攻撃はしませんが、それだとFFTAの矢かわしや見切りが死にスキルになってしまうので、無駄行動も容認するAIになってしまいました。
このAIがいろんな方面に悪影響を与えていて、分かりやすく言うとおバカなAIになってしまいました。100%発動するハメどるに何度もやられる間抜けな敵を見てると、こんな接待プレイに勝っても嬉しくないなぁって思う人もいるでしょうね。
それと上位モンスターがけっこうな確率で矢かわしを付けてるのでFFTAで弓が本当に使いにくい。これも発動率100%の弊害といえるでしょう。ファストブーストしかやる事はなくなるし、それならもう魔法でいいじゃんってなるんですよ…
次回作のFFTA2ではこれらの反省を踏まえてMPすり替えが大幅弱体化し、矢かわしもたたかう限定になりました。他にもいろいろ手を加えています。
おかげでバランスは取れましたが、結果的にFFTA2でのリアクションアビリティの戦略的な価値は低下し、FFTほど魅力溢れるアビリティではなくなりました。
ぶっちゃけた話、ないよりはマシかな程度まで落ちぶれています。
FFT→FFTAで強力なリアクションアビリティが軒並み姿を消したところへ、さらに性能を締め上げてしまえば戦略的な価値が落ちるのも当然なんです。元々はそれが目的というか、戦略的な価値がありすぎたから性能をナーフしているわけですし。
強すぎるアビリティを無くせば確かにゲームバランスは取れるでしょう。
でもやりすぎると大して有利を取れない効果のラインナップが並ぶことになり、リアクションアビリティそのものの面白さを殺すことになるんですね。
瀕死ヘイストとかリジェネーターとかダメージMP回復とか瀕死潜伏とかにロマンを感じろと言われても厳しいですし、最終的に一長一短のカウンター系か見切りか魔法回避くらいしか選択肢が無くなっちゃう。どれも敵編成に左右されるものです。
ここらへんの流れをもろもろ考えてみると、結果的にやっぱりFFTが遊んでて一番楽しかったなぁって結論になっちゃうんですよね。リアクションアビリティもロマンに溢れてたしムーブアビリティも存在感あるし。
確かにFFTのリアクションアビリティは難易度のブレを生んでいました。
けどそれ前提の難易度ではなかったと思うんです。
「無いとクリアできない」ではなく「あると簡単になりすぎる」タイプというか。
だったら楽しい方が良いに決まってる。
つまり問題は、そのはっちゃけた性能をどこまで許容できるかになるでしょう。
FFTAみたいに存在そのものを消すのではなく、かつ、FFTそのままの性能で無法地帯になるのを避けるには、うまい具合に落としどころを見つけるしかない。
そこでマジェは、リアクションアビリティを無効化する攻撃を用意します。
これはFFTAにも存在していて、リアクションアビリティ発動率100%のFFTA世界において重要な攻撃なのですが、問題なのは弓使いの「狙う」とウォリアーの「戦技」でしか使えないところです。
ウォリアーは鈍足すぎるバンガ族なので使う以前に問題があり、実質人間族とヴィエラ族しか選択肢がありませんでした。そのうえ物理攻撃なので魔法で攻撃したい場合はリアクションアビリティを無効化できません。アビ枠も1枠潰すし。
この部分を改善し、幅広いクラスで使えるようにします。
ただし、あんまり強すぎると今度はリアクションアビリティの価値が無くなってしまうので慎重にバランスさせる必要はありますね。
「このリアクションスキルを取ったらゲームクリアだぜ」とはならないバランスを目指しつつ、逆に敵の強力なリアクションスキルを攻略するステージも用意する。
これもメリハリ程度に留めてやりすぎないように注意しないとですね。
別にそれ取ったらゲームクリアってレベルのチートスキルがあっても良いとは思うんですよ。帽子のリンゴドライブとかもそうでしたけど、気持ちよく遊んでもらえれば簡単にクリアできてもいいと思うの。
でも露骨な最適解があると他の選択肢が死んでしまって、せっかくのリアクションスキルがそれだけの運用になると遊びの幅を狭めてしまう。リアクションアビリティってFFTの面白さのひとつだったし、ここは良い意味で悩ませたいところ。
それとこれはFFTAには無かった選択肢ですが、思い切ってリアクションスキルを捨てることで別のメリットが得られる仕組みも用意します。
陰陽値を限界まで盛るとリアクションスキル発動率が悪くなる代わりに火力が上がるのですが、他にリアクションスキル枠をサポートスキル枠に変える装備があるのでこれらを併用することで火力特化キャラを作れたりします。
FFTのロマン溢れる性能はできるだけ残して、どれを使うか悩ましい感じのラインナップを用意した上で、ひとつの解法だけで終わらないゲームにしたいですね。
11/9までの拍手お返事です。
■介護士アグリアス
■あ~ログ機能ありましたねすっかり忘れてた
あれが最低ラインか…
■帽子は瞬間表示を初期値にしたけどマジェは逆にしました
オプションで変えられるけど初期値を瞬間表示にしなかったのはやっぱFFTゲーだからかなぁ
■FFTネタばっかりだからそろそろゲーム制作の話しないとな…
■最適解がものすごく簡単に分かると他の遊び方が日の目を見なくなってそればっかりになっちゃうからゲーム性がワンパターンになるというリスクはありますね。かといって多少分かりにくくしてもおっしゃるようにネットで簡単に情報が掘れる時代だから難しいし、ネットで情報掘る人と掘らない人との情報格差問題も出てくる
■シレンはそこまで難しくなかったけどチョコボ2は難しすぎて途中で投げました
■単にデザイナーがモバイルデザイン畑ばかりでCSデザイン畑の人じゃないってだけなのかもなぁって思ってます。ドッターと一緒で希少種になりつつあるのかも
■プレイ日記はコメントしにくいからしょうがない…
■やはり森博嗣
森博嗣がすべてを解決する
■ほんとに意外でしたねぇ…でも個人的にあれこそがFFTの魅力だったから受け入れられてるのはすごくうれしい
■暗黒騎士は全然バランスブレイク要素じゃないんですけど、それでも皆のニーズが高いというのはやっぱりゲームにおいていかにロマン要素が大事なのかというのを感じますね
■にゃんだと!?それはまずいにゃ!
■PS1時代はロード時間も長かったですし、現代のUIに慣れてしまうときついのは確かですね。今のコンテンツは消費者の限られた時間の取り合いになっているので、供給側も消費側も無駄を許容する余裕が無くなっているのかもしれないなぁって
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かに座のさそりアグ~フェニ尾風味~